オンライン・シンポジウム
「女性と依存症」
~一緒に、一歩進んでみませんか?~
2022年3月16日

現代の女性を取り巻く状況と、様々なライフステージでの「生きづらさ」における女性と依存症に焦点をあてたオンラインシンポジウム「女性と依存症~一緒に、一歩進んでみませんか?~」を開催いたしました。
主催の厚生労働省、文部科学省からの挨拶に続き、第一部では、大嶋栄子さん(特定非営利活動法人リカバリー代表/国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 客員研究員)による「女性を取り巻く現状」をテーマにした基調講演が行われました。
第二部では、大嶋さんがモデレーターとなり、パネリストに秋山千佳さん(ジャーナリスト)、上岡陽江さん(ダルク女性ハウス代表、精神保健福祉士)、丸田佳奈さん(産婦人科医)、三輪記子さん(弁護士)を迎え、女性特有の依存症について、どのように気づいているか、気づいた時にどうしているか、また今後の支援のあり方など、女性の依存症問題についてディスカッションが展開されました。

ダイジェスト版

全編

オンラインシンポジウムQ&A

ご視聴いただいた皆さまより、たくさんのご質問をお寄せいただきました。ご質問の一部に回答させていただきます。

※回答はシンポジウム出演者の見解となりますので、ご了承のほどお願い申しあげます。

Q.01

生育環境の問題が大きいと思うのですが、本人の性格にいろいろと問題があり。
それを自覚していても直す気がない場合は、仕方ないのでしょうか。
家族としては、離婚するのが手っ取り早いのは事実ですが、その選択をしてよいのかどうか。
現在は依存症の症状は治まっています。孤独の病ということで、その結果が、恐いです。

回答を読む

Q.02

子どもを守るためには、養護の先生と担任の先生の連携が重要であることが分かりました。一方で、学校の外の支援者との連携も重要だと思います。どういう機関と何をきっかけに連携できるでしょうか?

回答を読む

Q.03

産婦人科には医師の他にも助産師看護師などがいて、患者さんへの時間をとって話を聴き、必要時医師につなげることができると思いますが、いろんなパラメディカルな人との連携はどうなっているのでしょう?

回答を読む

Q.04

「声を上げていきましょう」との旨の発言がありましたが、どこにどうやって声を上げていけば良いのか教えていただきたいです。

回答を読む

Q.01

生育環境の問題が大きいと思うのですが、本人の性格にいろいろと問題があり。それを自覚していても直す気がない場合は、仕方ないのでしょうか。
家族としては、離婚するのが手っ取り早いのは事実ですが、その選択をしてよいのかどうか。現在は依存症の症状は治まっています。孤独の病ということで、その結果が、恐いです。

モデレーター 大嶋 栄子さん

回答:モデレーター 大嶋 栄子さん
(特定非営利活動法人リカバリー代表/国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 客員研究員)

ご質問にあったご本人を女性、そして質問をくださった方をそのパートナーと仮定して、お答えしたいと思います。

今のところ、依存症の症状が治っているという状況とありましたので、まずはご本人なりの気づきやきっかけでその状態を続けていることに、こころから敬意を表します。というのも、依存症の状態を体験した(している)人たちにとって、今日一日をシラフで過ごすことは本当に苦しいことだからです。また依存症を発症していく経過では、言葉にして伝えることが出来ないもどかしさに、本人自身が自責感や嫌悪感を抱えることが多い一方で、表面上は虚勢を張り周囲を傷つける言動を繰り返すので、こうしたギャップを理解してもらうことは難しいのが現実です。ですから「性格の問題があることを自覚しつつ、改善させようという気配が感じられない」と、パートナーにさえ受け取られてしまうのでしょう。

依存症者本人が参加する自助グループについて、当日はお話しする時間がありませんでした。日本では依存対象がアルコールの場合、断酒会とAAというグループが活動しています。AAは約25%が女性のメンバーですし、断酒会にもアメシストという女性だけのグループがあります。みなさんが今日一日のシラフを続けていくことにより、どのように生き方を変えてきたのか、家族の方達も参加することのできる会合、ミーティングとAAでは呼んでいますが、そのような場があります。また、それぞれの自助グループには家族だけの集まりがあり、家族だからこその苦しみや不安を分かち合うこともできます。もし、回復の歩みを続ける人たちのお話をお聞きいただける機会があれば、大変嬉しく思います。
依存症からの回復には、時間がかかりますし、再発があるのも事実です。私自身は多くの回復と再発を見てきましたし、亡くなる人たちも大勢見ました。それでも希望を捨てたことはないのです。それは、女性依存症者たちが変化していく瞬間にも数多く立ち会えてきたからです。回復のプロセスを歩んでいく変化と成長をみたことがない人にその現実をお伝えすることはとても難しいのですが、幸い私は回復を信じることによって、この仕事を続けてきました。

依存症であっても性格の不一致であっても、離婚されるカップルは決してめずらしくありません。それはお話し合いのうえで決まっていくことかと思います。
最後にお伝えしたいのは、ご本人がたとえ一人になられても、手助けが必要であればそこに手が差し伸べられるよう、自助グループの人たちや私たちは活動しています。決してご本人はひとりではありません。ご本人が多くの仲間たちと出会える日が来ることを、心から祈ります。そして、ご本人にとって私もまた小さな助けのひとつになれることを、心から願ってやみません。


Q.02

子どもを守るためには、養護の先生と担任の先生の連携が重要であることが分かりました。一方で、学校の外の支援者との連携も重要だと思います。どういう機関と何をきっかけに連携できるでしょうか?

パネリスト 秋山 千佳さん

回答:パネリスト 秋山 千佳さん
(ジャーナリスト)

私の知る養護教諭は、児童生徒の「依存の入り口」について、学校医や産婦人科医、精神科医、子ども食堂などの地域活動、個別の問題に応じた支援団体(たとえばダルク)などと連携しています。
きっかけとしては、依存症や性教育の授業の外部講師として招いたり、研修や勉強会で知り合ったりというのが通例のようです。
ただし、養護教諭の経験の長短などによって、このあたりの問題意識やコーディネート力にはバラツキがあります。
また、若手の先生に聞くと、学校医のように定期的に関わる相手であっても、業務連絡以外は「忙しいだろうし迷惑になるかも」と遠慮してしまうといいます。
ですので、養護教諭に対して「こんな子がいたら相談してね」と一声かけてもらうと、その後も連絡しやすくなるように感じます。
また、地域活動の場合は、リーフレットなどがあれば地域の学校の養護教諭に渡してもらえると、連携のきっかけになるのではないでしょうか。
学校は子どもが卒業してしまうと関われなくなるため、学校の外の受け皿に繋げられればと願っている先生は多いです。子どもを長い目で支えていくために、学校外の支援者との連携が広がるように願います。


Q.03

産婦人科には医師の他にも助産師看護師などがいて、患者さんへの時間をとって話を聴き、必要時医師につなげることができると思いますが、いろんなパラメディカルな人との連携はどうなっているのでしょう?

丸田 佳奈さん

回答:パネリスト 丸田 佳奈さん
(産婦人科医)

安心なお産のためには、助産師看護師の活躍が重要です。妊娠・出産に関わる問題について、「どのように異常を見つけて医師に報告するか」が施設ごとに決まっていることも多いですし、それ以外の精神面や生活面でのサポートも、不安なことは必要に応じて担当医や他科の医師、行政につなげられるようになっています。
助産師外来や保健指導で受ける相談や、入院中は看護師とのなにげない会話からの聞き取りがきっかけになることも多いです。患者さんが「医師にはなんとなく話せないけれど、助産師や看護師には話せる」ということはとても多く、助産師看護師の役割はとても重要です。
とはいえ、人員の不足や時間的な制限などまだまだ改善していかなければならないこともあり、今後も業種間の連携をより深めていく必要があると思います。


Q.04

「声を上げていきましょう」との旨の発言がありましたが、どこにどうやって声を上げていけば良いのか教えていただきたいです。

三輪 紀子さん

回答:パネリスト 三輪 紀子さん
(弁護士)

「声をあげる」というのは難しいことですね。
例えばですが「周りに依存症の人がいるかもしれないことを前提として周囲の人を気遣い、優しい言葉をかけるというのも「声を上げる」に含まれると考えています。依存症の方がいることに気付いた時には、その人に「力になれることはない?」と声をかけてあげることも「声を上げる」に含まれると考えます。そこで、具体的に困っておられることに気付いた場合には、専門家と繋いであげることも「声を上げる」ことです。そして、地元自治体などで何をしてくれるのかを調べてみて、足りない部分がある時には、「ここが足りていないから改善をしてほしい」と地元自治体などに伝えることも「声を上げる」ことです。依存症の人やその周りにいる人たちが暮らしやすい社会になるように、頑張ってくれている人たちを応援することも「声を上げる」ことです。難しいことではなくて、周りの人が少しでも生きやすい社会になるように考えて行動することの全てが「声を上げる」ことに繋がると私は考えています。このシンポジウムを視聴してくださったすべての方は「声をあげる」準備ができたことと思います。一人一人の声は小さくても、集まれば大きくなります。